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第2回『母の日参り』手紙コンクール 〈金賞〉受賞作品を発表

2019.04.23

第2回『母の日参り』手紙コンクール 〈金賞〉受賞作品を発表

『母の日参り』パートナーシップでは、昨年度からスタートした共同文化事業、第2回『母の日参り』手紙コンクールにおいて、みごと〈金賞〉に輝きました受賞作品を、4月23日の共同プレス発表会の席上、選考委員長を務められた草刈正雄さんより発表いたしました。

本コンクールでは、“亡き母への手紙”をテーマに、400~600字程度の書簡形式で表現された未発表・オリジナルのノンフィクションを、本年2月5日(火)~3月29日(金)の期間中、広く一般より募集いたしましたところ、短い公募期間にもかかわらず、〈1,322篇〉もの“亡き母への想い”を綴った手紙が全国から寄せられるという、大きな反響をいただきました。

選考委員長・草刈正雄さんをはじめ、マーケティングライターとしてご活躍の牛窪 恵さん、パートナーシップ代表2者からなる選考委員会には、けっして優劣をつける審査ではなく、“特に心惹かれた、印象に強く残った作品”という、各委員の“心のモノサシ”を基準に〈金・銀・銅〉の8篇を選定いただきました。

本サイトでの全受賞作品の公開に先んじて、共同プレス発表会では《金賞》受賞作品1篇を、草刈正雄さんに発表をいただきました。

尚、受賞全作品は、4月末頃の掲載・発表を予定しております。

第2回 『母の日参り』 手紙コンクール 〈金賞〉 受賞作品

【作者】 頑張ってるお父さん (新潟県在住、49才の 男性)
【作品の題名】 ばあちゃん(母)、素直になれずゴメン

母が十数年前に他界した。
歳を重ねても唯一、頭があがらないのが母だった。
娘はそれを敏感に感じとり、私がカミナリを落とすと、よく「婆ちゃんに言いつけてやる」等と小さな抵抗をみせた。
母は孫娘を溺愛し、娘も超がつく程の婆ちゃん娘だった。

その娘が今年から新潟を離れ大阪で1人暮らしを始めた。
私は事あるごとに電話をするのだが、良くできた娘で煙たがらず近況を伝えてくれる。
お父さん、大丈夫だから心配しないでと。

私も若い頃、県外就職組だったので母からよく電話を貰った。
その当時、自分は男だというプライドと若さも手伝って、母に対して随分とつっけんどんな態度を取ったものだ。
しかし今こうして娘の心配をしていると、母がその当時かけてくれた言葉が、時空を超え私の心に突き刺さってくる。
人生のゴールがそろそろ見えてきた今頃になって、30数年前にかけて貰った母の言葉に感謝し涙する。

生きている内に、もっと母と向き合うべきだった。
私達には言葉がある。愛を伝え、感謝を伝えるその言葉で、くだらない事でも日常の小さな出来事でも、もっともっと会話をするべきだった。
孝行したい時に親はなし ―― そんな当り前の言葉が身に沁みる。

ある日、大阪の娘から電話があった。
「お父さん、母の日参りって知ってる? 母の日に新潟に帰るから、そしたら婆ちゃんのお墓参りに行こう。婆ちゃんの好きだった栗羊羹を持ってさっ」
頬から流れた涙が受話器を伝ってポロリと落ちた。

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