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第1回『母の日参り』手紙コンクール 〈金賞〉受賞作品を発表

2018.04.23

第1回『母の日参り』手紙コンクール 〈金賞〉受賞作品を発表

『母の日参り』パートナーシップでは、本年度より共同の文化事業としてスタートしました『母の日参り』手紙コンクールにおいて、みごと〈金賞〉に輝きました受賞作品を、4月23日の共同プレス発表会の席上、選考委員長を務められた中村獅童さんの朗読により発表いたしました。

本コンクールでは、“亡き母への手紙”をテーマに、400字程度の書簡形式で表現された未発表・オリジナルのノンフィクションを、本年2月5日(月)~3月31日(土)の期間中、広く一般より募集いたしましたところ、短い公募期間にもかかわらず、〈1,857篇〉もの“亡き母への想い”を綴った手紙が全国から寄せられるという、大変大きな反響をいただきました。

選考委員長・中村獅童さんをはじめ、マーケティングライターとしてご活躍の牛窪 恵さん、パートナーシップ代表2者からなる選考委員会には、けっして優劣をつける審査ではなく、“特に心惹かれた、印象に強く残った作品”という、各委員の“心のモノサシ”を基準に〈金・銀・銅〉の8篇を選定いただきました。

本サイトでの全受賞作品の公開に先んじて、共同プレス発表会では《金賞》受賞作品1篇を、中村獅童さんにご披露いただきました。

尚、受賞全作品は、5月上旬頃の掲載・発表を予定しております。

第1回 『母の日参り』 手紙コンクール 〈金賞〉 受賞作品

【作者】 余白さん(静岡県在住、89才の 男性)
【作品の題名】 白い目薬

母さん、冥界(そこ)からオレが見えますか。
オレ、来年は遂に九十の大台。母さんの享年を遥かにこえます。
丈夫に育ててくれてありがとう。
母さんとの想い出はキリがないけど中でもとっておきはこのエピソード。

小四の頃、歳の瀬の路地裏でメンコ遊びに興じていると
一陣の突風に襲われて目にゴミが。
「痛ッ!」 慌てて家の中へ駆けこむと
母さんが「やッ大変」と赤子の弟を脇へ置き、左の二の腕でオレを支え、
右手で乳房を掴むと オレの目めがけて勢いよく絞りだす
集中放乳?作戦。
その一条の白い目薬はすっかりゴミを洗い流してくれたっけ。
八十年後の今も母さんの肌の温もりと共に鮮やかに覚えています。

母さん、オレが母さんの許へいける日は遠くない。
五十年ぶりに会える母さんはどんな迎え方をしてくれるだろう。
母さんはお茶目だからこんなこと言いそう。
「アレ、えらいお年寄り。もしかしてわたしの父ちゃん?」
そしたらこう返してやろう。「三男静雄只今母上の御許へ参上」。

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